【完】キセキ~君に恋した時間~
第1話 幼なじみの上京
ボールを強打する金属音。
運動部のかけ声。
怒声、歓声。
その全てが青春だなあ……とは感じるけ
ど、そこに交わりたいとは思わない。て
いうか思ったことなんてない。
「あちぃ……」
あまりの暑さに顔を歪めながら、首筋に
浮かんだ汗を拭った。
そもそもこんな夏真っ盛りで、ギンギン
に太陽がヤル気出してるっつのに、外に
なんか居られない。
もちろん体育館だって例外じゃない。あ
れはむしろ外よりあり得ない。
あんな籠った中に居たら、蒸されて死ぬ
。
皆よくやるよな。太陽への反逆行為にし
か見えないのは俺だけなんだろうか。