【完】キセキ~君に恋した時間~




「美海っ」



走りよった俺に目を向けた美海は、俺を
見てから、クスッと笑った。



「どんだけ不安そうな顔してんのよ。た
だの栄養失調だって」


「栄養失調……」


「ま、これからは頑張って、少しでも胃
に入れるようにするから。大丈夫よ」



そう微笑んだ美海に、ホッと息をついた




「そ、っか……」


「うん。ただ、念のための検査で、明後
日から二日だけ、入院するけど」


「入院!?」


「だから、念のためだってば。検査入院
よ、ただの」



そう言って笑った美海に、安堵の息をつ
く。



……重病とかじゃなくて、良かった。



「……徹……。心配してくれて、ありが
とう」



その日の美海は。


やけに、素直だったのを覚えている。






< 215 / 278 >

この作品をシェア

pagetop