【完】キセキ~君に恋した時間~
「美海っ」
走りよった俺に目を向けた美海は、俺を
見てから、クスッと笑った。
「どんだけ不安そうな顔してんのよ。た
だの栄養失調だって」
「栄養失調……」
「ま、これからは頑張って、少しでも胃
に入れるようにするから。大丈夫よ」
そう微笑んだ美海に、ホッと息をついた
。
「そ、っか……」
「うん。ただ、念のための検査で、明後
日から二日だけ、入院するけど」
「入院!?」
「だから、念のためだってば。検査入院
よ、ただの」
そう言って笑った美海に、安堵の息をつ
く。
……重病とかじゃなくて、良かった。
「……徹……。心配してくれて、ありが
とう」
その日の美海は。
やけに、素直だったのを覚えている。