【完】キセキ~君に恋した時間~
「一人で行けよ」
「道がわかんないんだもの」
「今の時代、地図も交番もあるんだぞ」
いつかはたどり着くだろ、絶対。
「地図なんて見ても理解不能だし!交番
なんて恥ずかしいじゃない。それに、東
京は路線が多すぎて迷うのよ!」
そう言われ、しまいには胸ぐらを掴みあ
げられ。
「いいから黙ってついてきなさい…?」
なんて凄まれたら、最早頷くほかない。
命が惜しいなら新宿に来いよ、って俺に
は聞こえた。
適当に朝ごはんを作ってやり、部屋で着
替えていると。
「徹、遅い!」
という声とともにいきなりドアが開けら
れた。
「うわっ、急に開けんなよ馬鹿!」
「いいでしょ、別に。見られたってへる
もんじゃないし」