【完】キセキ~君に恋した時間~
「うん……あのね…」
ふと、武野さんが、立ち止まった。
だから俺も立ち止まり、武野さんを見下
ろす。
「好きです」
夜の静寂。
何も聞こえないこの空間で、その声と言
葉は、あまりにはっきりと耳へ届いた。
聞き返すことすら許さないかのように、
はっきりと。
「え……?」
街灯に照らされた、武野さんの頬がすご
く赤い。
そして、その瞳には強い光が宿っていて
、俺をがっちりと捕らえる。
「え、っと……」
「好き。私、岡田君が好きだよ」
ちょっとはにかみながら、もう一度、好
きだと伝えてきた武野さん。