【完】キセキ~君に恋した時間~
俺はどうしたらいいのかわからず、戸惑
う。
「私がコンプレックスだって言った名前
を、微笑みながら可愛いっていってくれ
た時からずっと、好き」
俺は漸く、言葉の意味を完全に理解して
、頬が熱くなっていくのを感じた。
す、好き!?
武野さんが俺を……好き!?
全然気付かなかった……。
ふと、夏に、武野さんがレモンは好きか
と訊いてきた時の事を思い出した。
あの時、磯部に鈍感だと罵られた理由が
漸くわかった。あれは、俺だけに向けら
れていた言葉だったんだ。
俺への、アピールだったんだ。
「……ごめん」
ポツリとそう呟くと、武野さんの瞳が、
不安そうに揺れた。
「俺、無神経だったよな……ごめん」