【完】キセキ～君に恋した時間～

もしかしたらあの時、武野さんは傷付い
てたのかもしれない。



そう思うと、胸が苦しくて。



「……岡田君はさ、好きな人、居るの？
」


「え？」


「居ないんだったら私と付き合って欲し
い。私のことを好きじゃなくても構わな
い。これから、好きになってもらえるよ
う頑張るから」


「でも───……」



そういう意味での好きじゃないのに、付
き合うなんて。



そんな中途半端なこと、出来ない。



けど。



「岡田君の言いたいことはわかるよ。で
も、中途半端だから、とか、そういうの
じゃ納得出来ないから」



真剣な眼差しに射抜かれて、何も言えな
くなった。



「岡田君……好きな人、居る？」