【完】キセキ~君に恋した時間~
第16話 悪化
「じゃあすいません、お先に失礼します
」
エナメルを方にかけて、部活の先輩や同
期たちにそう言いながら、頭を下げる。
そとに出ると、空はどんよりと曇り、そ
ういえば今日は雪の予報が出ていたかも
しれない、と思い出す。
一月上旬。
気温はグッと下がり、寒さに凍える毎日
だ。
体育館を出た所で、偶然、武野さんに出
会う。
武野さんはスポーツドリンクのペットボ
トルが入った籠を持っていたから、どこ
かに取りに行っていたんだろう。
「あ、岡田君。そういえば今日は早退だ
ったっけ」
「うん。そう」
「お疲れ様。身体、冷やさないようにね
」
ニッコリと微笑んでそう言った武野さん
に、頷く。