【完】キセキ~君に恋した時間~
そこには困ったように笑う美海が居た。
「もう……。来なくていいって、言った
のに」
「来るって言ったろ」
そう言うと、呆れたように美海は息をつ
く。
「……まあ、ありがとう」
……気が、狂う。
いつも強気で、勝ち気で。そんな美海が
こんなにも素直だと。こんなにも、弱々
しいと。
俺は戸惑ってしまう。
「リンゴ持ってきたけど、食べる?」
「徹、剥けるの?」
「俺の料理の凄さ、知ってるでしょ」
リンゴの皮くらい、朝飯前ですよ。
じゃあ、お願いしようかな、と笑った美
海に微笑んで、果物ナイフを取り出した
。