【完】キセキ~君に恋した時間~
くるくると器用に剥かれていく赤い皮を
、珍しいものでも見るかのように凝視し
てくる美海。
……そんなに見られると、やりづらいん
ですけど……。
皮を全部剥ききった所で、美海に目を映
す。
さっきまで皮に向けられていた痛いほど
の視線は、今度は俺に向けられていた。
「……なんでそんな凝視すんの?」
「や。ほんと、すごい器用だよね、徹っ
て。……だからすっごいムカつく」
ちょ、真顔で言わないで欲しいんですが
!怖いから!普通に怖いから!
真顔でムカつく、とか言われるほど胸が
痛むことは無いだろう。それに。
美海が好きなこなら、尚更だ。
……。
ヤバイ。好きな子、とか意識したら、め
ちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。
自分で考えて、自分で照れるとかアホか
俺は。