【完】キセキ~君に恋した時間~
「何赤くなってんの」
「リンゴの赤が伝染しました……」
「……馬鹿じゃないの?」
誤魔化すようにそう言うと、辛辣な一言
。なにもそんな軽蔑の眼差しを向けてこ
なくてもいいのに。
リンゴを八等分くらいにして、皿に乗っ
ける。
それを美海にわたすと、美海の小さな口
にリンゴが吸い込まれ……って変態か、
俺!
俺はぶるぶると首を横に振ってから、話
題を変えた。
「えっと、美海、いつ頃退院できんの?
」
別に、深い意味があったわけじゃない。
ただ、切実な疑問で。
なのに、どうして。
「……さあ、どうだろ」
そんなに、切なそうに言うんだ。