【完】キセキ~君に恋した時間~
第17話 儚い微笑み
「明日はさ、練習試合なんだ」
今日も俺は病室で、他愛ない話を君とす
る。
これが俺の日課になっていた。
病室にいって、美海にその日の出来事を
話す。美海も、どこか楽しそうに聞いて
くれる。
───"日課"になってしまうほど、美海
の入院は続いていた。
もう、2月の半ば。
それなのに相変わらず、美海は病院のベ
ッドに横たわっている。
なんで退院できないんだ。
なんでこんなに長引いてるんだ?
そう聞きたいのに、聞けなくて。
俺は日々募っていく不安を打ち消すよう
に、ただ喋り続けた。
ただ、胸のざわつきが強まっていくのを
知らないフリをして───。