【完】キセキ~君に恋した時間~
春風のような、柔らかい音色に、振り向
く。
すると、可愛らしく美海が頬を染めてい
たから、思わず心臓が煩く高鳴った。
「───……最後に、キス、して……」
小さい声で、涙目で俺を見上げた美海に
逆らえる男がいるはずがない。
俺は美海に向き直って、その柔らかい頬
を両手で包みこんだ。
「……最後とか、言うの、禁止」
そういってから、その潤った唇を、塞ぐ
。
甘いお菓子を求めるように、美海を求め
た。
「ん……っ…」
キスの合間、美海から漏れ出る声に切な
さを覚えては、それをかきけすように口
付けを落とす。
なのに何度求めても、足りなくて。
それどころか、切なさが込み上げて。
寂しくて。
離したくなくて───……。