【完】キセキ~君に恋した時間~
いやいやでもさ?
そこらの男よりも怖いんだぜ?もうしょ
うがなくないか?うん。
「ちょっと。一人で考え込まないでくれ
ます?」
「痛い痛い痛い!!」
ウンウン、と一人で納得していたらそん
な声と共に、脇腹をつねられた。
「ほんっと、憎たらしいくらい無駄肉の
ない脇腹ね、ムカつく!」
「痛いって!わかったから離せ……離し
てください!」
なんでムカつかれなきゃいけないんだ。
そして俺は夏休み早々に何回つねられれ
ば良いんだ。
美海の爪は狂気だ。
長く尖った爪。いつもキラキラしてて、
見るぶんには綺麗だけど、あれにつねら
れた時の痛さといったら……。
「ま、いいや。ね、そんなことより、こ
れ、どう思う?」
美海はそう言うと、俺の前でくるりと一
回転してみせた。