【完】キセキ~君に恋した時間~
俺が誉めてあげた言葉はまるっきり無視
して、痛い所を突いてきた美海。
「違う!うっかりしたんです!ごめんな
さいもう言いません!」
「心の中では思ってるってことでしょ!
ほんとムカつく!!ヘタレの癖に!」
ヘタレ関係なくねぇ!?とか最早そんな
事は言っていられない。俺は今を生き延
びるのに精一杯なのだ。
なんで自分の家で、しかも自分の部屋な
のに、生命の危機に襲われなくちゃいけ
無いんだろうか……。
「美海!俺、用事あるから……っ!」
美海にそう言うと、漸く美海の攻撃が止
んだ。……まだ、臨戦態勢だけど。
「用事ってなに」
「美海も聞いてただろ?栄生君が去り際
に俺に伝えてたのを」
「……体育館って奴?あれ、どういう意
味なの」
どうやら美海の興味はこのあとの俺の用
事へと向けられたようで、俺はホッと胸
を撫で下ろした。