【完】キセキ~君に恋した時間~
ギラギラと俺を嘲笑うように照りつけて
くる太陽。
なんで俺がこんな目に……。
俺はもともと日陰が似合う男なんだよ。
クーラーと共に生きるために生まれてき
た選ばれし人間なんだ。
こんな……汗だくになりながら学校に向
かうために生きてるんじゃないのに。
熱で目の前の景色が歪む。
本当は今すぐこの場でへたりこみたいん
だけど、アスファルトが殺人的熱さを持
っているだろうから無理だ。ステーキに
されてしまう。
そしてそれから、ただ朦朧としながら歩
いていたら、ようやく体育館に着いた。
「つ、着いた……」
ダメだどうしよう。HPが既にゼロに近
い。
重たいドアを開け、中に入った瞬間、も
わっと生ぬるい風が一気に押し寄せてき
て俺は力尽き、その場に倒れた。