【完】キセキ~君に恋した時間~
第4話 翳る君の瞳
「……つまんないんですけど」
8月も中旬に差し掛かった頃。
水筒に氷を入れていたら、リビングのテ
ーブルに顎を乗せて、美海が不貞腐れた
ようにそう言った。
それから、ジロリ、と俺を見る。
「つーまーんーなーいーっ!」
しまいには足をじたばたさせて、子供の
ように駄々をこねる美海。
……なんなのこの子。超めんどくさい。
「そんなこと言ってたって、楽しくなら
ないぞ」
「そんなの知ってるわよ!あんたが部活
にばっかり構ってるから、私が暇を弄ぶ
んでしょう!?」
えー、俺のせいですか。
俺はあれから、結局バスケ部に入部する
ことに決めた。
炎天下の中、学校に言って、蒸された体
育館で動き回って。