【完】キセキ~君に恋した時間~
何か言い訳を、と口を開けば、俺の声を
遮るように美海が立ち上がった。
「誰が……あんな腐った家に……!」
パタン、と美海に貸している部屋のドア
がしまる音がする。
……最低な男だ、俺は。
「美海……」
ごめん、と小さく呟いた声は、きっと君
には届かない。
「徹くーん!」
学校へと続く通学路の途中にあるコンビ
ニで、栄生君が手を振っていた。
今日だけは栄生君と一緒に学校に向かう
から。
というのも、今日は"本入部"の日。
───今までは"仮入部"という形で、ず
っと栄生君と二人きりで、基本的な技や
、細かいルールを教えてもらっていた。