【完】キセキ~君に恋した時間~
少し伸びかけてる坊主頭に、人懐っこそ
うな笑顔。
そんな磯部は、唯一といってもいい俺の
友達だった。
「え、磯部、バスケ部だったの?」
「おま……!小学校から一緒にいて、そ
んなことも知らなかったの!?俺マジで
泣くよ!?」
ガーン、と効果音が付きそうなリアクシ
ョンを取る磯部。
「だって坊主じゃん。野球部かと」
「坊主だからって野球部とは限りません
。俺はいつでもこのヘアスタイルなの」
へー……もう磯部=野球部っていう方程
式が勝手にインプットされていたよ。い
やあ、思い込みって怖い。
でもまあ、磯部が居るならちょっとは気
が楽だぜ、と思ったその時。
「ケッ。弱そうな奴を連れてきたなあ、
キャプテンも」
といきなり心に深いキズを追わされた。
ま、弱いんだけどね……。