【完】キセキ~君に恋した時間~





少し伸びかけてる坊主頭に、人懐っこそ
うな笑顔。



そんな磯部は、唯一といってもいい俺の
友達だった。



「え、磯部、バスケ部だったの?」


「おま……!小学校から一緒にいて、そ
んなことも知らなかったの!?俺マジで
泣くよ!?」



ガーン、と効果音が付きそうなリアクシ
ョンを取る磯部。



「だって坊主じゃん。野球部かと」


「坊主だからって野球部とは限りません
。俺はいつでもこのヘアスタイルなの」



へー……もう磯部=野球部っていう方程
式が勝手にインプットされていたよ。い
やあ、思い込みって怖い。



でもまあ、磯部が居るならちょっとは気
が楽だぜ、と思ったその時。



「ケッ。弱そうな奴を連れてきたなあ、
キャプテンも」



といきなり心に深いキズを追わされた。



ま、弱いんだけどね……。





< 62 / 278 >

この作品をシェア

pagetop