【完】キセキ~君に恋した時間~
ニカッ、と爽やかさ100%で笑ってくれ
た福田さん。
なんか今の笑顔ですごい癒された……。
「じゃあ、徹くんも入れて、今日からま
たチームの再編をしたりするから。あと
は二年生が10人、一年生が15人だか
らね」
栄生君のその言葉を合図に、練習が始ま
った。
まさか自分が、こうして真夏の体育館で
動き回ってるなんて、思いもしなかった
。
チラリ、とコート内を見回す。
チームメイトは、皆、すごくいいやつだ
と思う。こんな陰気くせぇ俺にも親身に
接してくれてるし。
だけど───……。
多分きっと俺は、そんなチームメイト達
にも壁を作るだろう。
自分が傷付きたくないから。自分が──
俺は、弱いから……怖いから。
触れれば消えてしまうものなんか、いら
ない。
出会いと別れは紙一重なんだ。