【完】キセキ~君に恋した時間~
五歳くらいの時に、岩手から上京してき
た。
「疲れた……」
早くクーラーで涼みたい。
そんな風に思いながら鍵を挿そうとした
その瞬間。
────ガンッ!
「……っ!?」
急にドアが開いたかと思えば、そんな出
来事予想すらしていなくて立ち竦む俺の
顔面を強打してきた。
あまりの痛さに周りに星がチカチカと回
る幻覚を見ながら、額と鼻を片手で覆う
。
しかも顔面に当たった衝撃で後ろに尻餅
までついたから、尾てい骨がジーンと痛
む。
なんなんだよ一体……と思ったその時。
「───遅いっ!」
という鈴を鳴らしたみたいな声と。