【完】キセキ~君に恋した時間~
第5話 勝利と引き換えに
『うええぇぇん……っ』
『お、なに泣いてんだぁ?徹』
『みっ、美海ちゃんが……っ』
小さい頃、美海に泣かされるたび、親父
に抱きついていた俺。今考えると、とん
でもなく情けない俺。
そんな俺を、父さんは笑って。
『美海ちゃんは強いなぁ』
なんていつも何故か美海を褒めるから、
俺は少し気に入らなかった。
俺は子供だったけど、父さんはもう大人
だから。きっと知ってたんだと思う。
小さいながらに、美海の抱えてるものに
。
美海の家は、かなり複雑だった。
まず、美海とお母さんは血の繋がりが無
い。
美海の本当のお母さんは、美海を産んで
すぐに亡くなったらしく、今のお母さん
は美海のお父さんの再婚相手だった。