【完】キセキ~君に恋した時間~
仁王立ちで俺を見下ろす美少女が立って
いた。
腰まである、艶のある黒髪ストレート。
大きくぱっちりとした二重の目。ぷるん
と潤うピンクの唇。
抜けるように白い手足。
あれ……俺、部屋間違えた?
いやでも、ここのアパートにこんな美少
女いなかったきが……。
「ちょっといつまでそうしてるのよ、徹
!」
「……へ」
なんのためらいもなく呼ばれた自分の名
前に、幾度か瞬きをする。
なんで俺の名前───……。
「相変わらずひょろっちくて、頼りにな
らなそうな男!」
ふん、と言いながら俺を見下ろす女。
そんな女に、僅かな怒りが募った。