【完】キセキ~君に恋した時間~
あれから、美海がやって来て、峯本や磯
部にそいつは誰だと血気盛んな目で問い
詰められながらもそれから逃げ切り、今
現在、美海と帰路を辿っている、が。
なにこの無言。なにこの気まずさ。勝っ
たのにこんな気まずくなるなんて。
美海はあれから喋らないし……。
「……あのー…美海サン?」
「何」
「……応援、ありがとう」
そう言うと、美海が驚いたようにして俺
を見た。
そんな美海に、ちょびっと微笑む。
「美海が来てくれなかったら、勝てなか
った。だから、ありがとう」
そう言うと、美海はほんのりと頬を染め
てから……。
「……っムカつく!」
と言って、俺を殴ってきた。
「……っ!」
声にならない叫び声をあげながら、腹部
を押さえる俺。