トワイライト
第10章‐澪(みお)の一面
  治子は理子が座っているテーブル席に着くと
「理子さん。私は孤児院であなたのお母さまと親しくさせて頂いていた、如月治子(きさらぎ なおこ)です」
  と挨拶をした。




「えっ?!あなたは私の母のお友達なのですか?」
  と理子は突然の如月治子の出現に戸惑い、唖然として治子の顔を見つめた。




  間もなく如月は澪の事について静かに語り始めた。
「私と澪が孤児院を出てからは、私も澪も数奇な運命に翻弄(ほんろう)されて生きてきました。ちなみに孤児院を出てから何度か澪には会っていたのですが、私が縁があり勤めていた会社で知り合った男性と結婚をしてからは、めっきり澪に会う機会もなくなっていたのですが、澪と久し振りに再会したのは、生まれた我が子が5歳の時でした。




  その日私は用事があって娘と出かける途中だったのです。その時に私は街中でグーゼン澪と会いました。澪と会うのは久し振りだったので、その時私達は喫茶店に入り、孤児院で過ごした事やお互いがこれまで歩んで来た経緯、そして今現在の自分達の暮らしぶりなどを報告し合いました。
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