トワイライト
  でもって澪はその時にあなたを連れていました。だから私は理子さんあなたの顔を見ながら『澪結婚したの?その子あなたに似てとても目が大きくて可愛いわね』と言うと理子さんその時のあなたは満面の笑みでもってニッコリと私に微笑んでくれました。その理子さんの反応に私は『ああ良かった。お子さんは素直に育っているのね』と少なからず安心したのを覚えているわ。




  そして『ところで話は変わるけれど今あなたは幸せなの?』って私が聞いたら、澪はただ淋しそうな笑顔で微笑むだけでした。だから私はその時あまり澪の事を根掘り葉掘り聞くのは悪いかな?と思って、それ以上は何も聞かずに別れたのですけれど、後で一応聞いておいた連絡先に私が電話をしたら、既に澪は何処かへ引越しをした後だったみたいで、電話が繋がらなかったの。




  だから残念な事に澪とはそれ以来会ってはいなかったんだけれど、つい3年程も前になるかしら?澪が入院していた病院から私に澪の危篤の知らせが届いたのです。だから私急いで澪の元に駆けつけました。でもその時澪はやせ細り骨と皮だけと言う姿で、すっかりと以前の美しい面影を失くしていました。そんなだったから澪は私の顔を見届け安心をしたように力なく微笑むと、私にあなたへの手紙を手渡した直後に息を引き取ったのです」
  と治子は言った。





  その治子の話をじっと黙って聞いていた理子は
「そうでしたか……」
  と 一言言うとハンカチで流れ落ちる涙をそっと拭(ぬぐ)った。
< 219 / 321 >

この作品をシェア

pagetop