トワイライト
第13章‐有との決別
  有はすでに大雅の籍に入っている。だから隼人が今更有に過去にどんなにか有を思っていたかと言うその思いを有に伝えたとしても、もはや遅いのだと言う事は隼人には解っていた。




   だが人の心って言うのは時として理不尽な思いに囚われる事もある。ちなみに隼人は有が依然として自分の事を思い出さないまま、有と大雅が笑顔で会話を交わす姿を複雑な思いで見つめていた。そんな隼人の胸中は、時にはやるせなさに抑えきれない程の極限状態になる事もあった。




  そして又未来への希望も消え失せ、隼人の心の中は落ち込み絶望的にさえなった。だがそんな隼人の心を救ったのは、いつも隼人のそばで多くを語らず温かく見守り、隼人にそっと寄り添っていた萌の隼人に対する一途な愛情だった。




「隼人そろそろ東京へ帰ろうか?」
  とそう萌に言われた隼人は
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