トワイライト
  その日の夕方隼人は、美有に萌と一緒に東京へ一足先に帰る事を告げた。なので慎也と美有の二人は、港まで隼人と萌の二人を見送る事にした。




  夕暮れのトワイライトの浜辺は陽が落ちかけ、紅く染まっていてとてもきれいだった。そんな中でお互いにかける言葉も見つけられずに、4人はただ無言で港へと歩き続けた。




  そして間もなく港に着くと 
「美有さん有を宜しくお願いします。僕はいつも有があなた達家族と交流出来る日を、心から願っていました。僕が有と共に人生を歩けなくなった事は、本当に辛く残念な事ですが、今は僕の隣で僕を支えてくれる萌を、大切に思い生きて行きたいと思っています。ですから美有さん、大雅さんに有を絶対に幸せにして欲しいと、僕が願っていた事を伝えて下さい。そして僕が今回皆さんに色々とご迷惑をかけてしまった事を、許して下さい。では僕達はこれで失礼します。美有さんに慎也さんどうかお二人共お元気で。さようなら」
  と隼人は別れの挨拶を言って、美有と慎也にそれぞれ交互に握手をすると、萌と共に船に乗り込んだ。そして少しするとやがて船が島をゆっくりと離れ、動き出した。




  すると
「隼人さあーん!お元気でえー!」
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