トワイライト
  そして1週間後―――――。




  海外への正式辞令を受諾した崇晃は早速会長室に呼ばれ、ロサンゼルス勤務の正式辞令を言い渡された。尚、父親亮太は崇晃にロサンゼルスを拠点にして世界各国を回り、洋服を買い付けるバイヤーの仕事を任せる事にしたのである。それはそうして忙しい日々を過ごすうちに、崇晃の心も次第に癒(い)えるだろうと言う、亮太の子供に対する父親としての優しさの表れでもあった。




「では崇晃おまえにはロサンゼルスに赴任して、バイヤーの仕事を受け持って貰う事にする。瞳子さんと共に力を合わせて、どうか頑張って欲しい。尚、これは海外赴任の為の必要経費だ。今日から1週間以内に日本から向こうに移動が出来るように、急いでロサンゼルスに行く準備をしてくれたまえ」
  と、亮太は自分の息子である崇晃にそう告げると、亮太はお金の入った封筒を、崇晃に手渡した。




「はい。ありがとうございます。感謝致します」
  と言って崇晃は亮太から封筒を受け取り深々と頭を下げると、父亮太が管轄(かんかつ)するオフィスを後にした。
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