トワイライト
  ちなみについ最近瞳子が暴漢を使って実母である理子を襲わせ、その結果自分達姉妹が生まれた事実を知って、有は一時瞳子を許せないでいた。が、しかし実母理子から色々な葛藤の末『産みたい!と強く願ったからこそあなた達二人を産んだんだ』って事を聞いて、『ああ、そうだったんだ。少なくとも自分達双子の姉妹は実母に望まれて生まれてきたんだ』ってそう思ってその時に有は実母のその言葉に救われた気がした。それは同時に瞳子の実母に対する罪が軽減されるに事にも充分値した。




  確かにきっかけは何であろうと大事なのは生まれてからその後の事なんだって有はその時に素直にそう思えたのだ。でもってかつて理子は双子の姉妹のうちの有だけを乳児院に預けた。でもそれだって二十歳(はたち)そこそこで二人の子供を育てられない状況だったからなのだと、少しの冷却期間をおいた今ならば有には良く理解出来た……。




「じゃあ、まだ名残惜しいとは思いますが、皆さんそろそろ帰りましょうか?!」
  と美有が言うとそれぞれ漆黒(しっこく)の空に遠ざかる、崇晃と瞳子が乗った飛行機をじっと見つめていた皆は、やがて空港を後にした。そして空港を後にした二組のカップルと蓮は距離を離して仲良く話をしながら歩き始めた。




「ねえ、あのね大雅さん私の祖母と実の母も孤児院で育ったでしょう。それに私自身も乳児院の出身な訳じゃない。だから私はいつしか将来孤児院を創る事が夢になっていたの。そしてその夢は今でも変わらないの。それに偶然にも私の命の恩人でもある如月さんは、私の祖母と孤児院で知り合って以来のお友達だったの。それで如月さんの夢も私と同じく孤児院設立だったのね。でも如月さんは今現在末期癌で余命が限られているらしいの。
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