トワイライト
  そして 有は大雅と一緒にいると限りなく自分の心の中が落ち着き、穏やかになるのがたまらなく心地良かった。ちなみにそれは明らかに激しく燃え上がり身を焦がす程の過程を辿ってきた思いではなかった。だけどそれだからこその落ち着きが、大雅と一緒にいるだけで感じられた。




  まあ、振り返れば以前の恋人隼人との関係もそれに近かったとは思う。単に同じ高校の2年先輩だった隼人にある日突然『好きだ。僕と付き合って欲しい!』と告白されて、有は『うん。良いよ』と軽く答えた。だってその時は別段断る理由が何もなかったから。




  って事は自分には可もなく不可もなくこんな穏やかな関係が似合ってるって事なんだなと、有は改めてそう感じた。




『でも私この感じ好きだな!』と有は心の中でそう呟き、思わず組んでいた大雅の腕を両腕で強く掴んだ。
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