トワイライト
  尚、美有は瞳子の土下座の謝罪があった日の夜に、理子の口から美有と有は瞳子が差し向けた暴漢の男性と理子との間に出来た子供であると言う事を告白された。その時美有はその真実に微妙に心が揺れ動いた。だが知ってしまった以上取り返しなど利きはしない。




  が、しかしその神埼猛(かんざき たける)と言う男性はその当時母理子に思いを寄せていた事もある男性で医学生であったと言う。尚、美有にとっては少なくとも自分の実の父親が過去に犯罪を犯していた極悪非道なだけの人間ではなかったと言う事が、せめてもの救いになった……。




「ねえ、慎也。人の出会いって本当に不思議よね。私が大雅さんにこうして有と間違えられなければ、おそらく私だって有の身代わりになる事もなかったんだし、ましてやその後慎也と私とで有を捜す事もなかった訳じゃない?でもって有が私の双子の妹だったって事も全く知らずにいたはずだわ。それに当然母の隠された生い立ちにも気づく事なく、人生を終えていたかも知れない。




  そう思うと私なんかこの短期間に、自分達が体験して色々な事を知った事が、とっても大切な事のように思えてきたの。まあ、人の人生は決して平坦ではないのだと言う事は私にも解るんだけれど。ねえ、慎也。私達がこれから結婚をしてからの二人の人生にも、色々な困難が待ち受けているのでしょうね。
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