トワイライト
  担当医師からそう言われて
「う、うわっ、同じ赤ちゃんが3人と言う事は、例えて言うならつまり『瓜三つ』の赤ちゃんって事よね」
  と言うとそのあまりにも想定外な現実に、美有の頭の中は真っ白になった。




  それはそうだろう。普通は子供が一人出来るのが基本であって、ましてや双子が出来る確率はごく少ない。その事を踏まえたなら美有の場合は、必然的に3人の子供をいっぺんに育てる事になるのだから、その驚きは半端ないはずである。だがここでひるんでなんかいられない状況の美有は、一か八かの掛けに出るしかなかった。




  まっ、当たって砕けなければならない、このような状況にしてしまったのは、紛れもなく美有自身でもあるのだから、はっきり言ってこれは自己責任以外のなにものでもないのだと美有は改めて思った。そして産婦人科の診察室を出ると美有は、この事を慎也にどう伝えたら良いんだろう?と考えているうちに、とうとう美有の思考はキャパシテイの範囲を越えてしまっていた。




  そしてこの時美有は母子手帳の交付申し込み用紙を受付で受け取って、必要事項を記入の上区役所に提出して、母子手帳の交付を済ませて下さいと助産婦さんから言われた事さえ、全く覚えていないほど冷静さをなくしていた。
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