トワイライト
　　だが１人の赤ちゃんを育てるだけでも育児ノイローゼになる人がいるって聞くのに、自分の場合は同時に３人の赤ちゃんの育児をしなければならないのだと思い、美有はその大変さを想像しただけで次第に頭痛がしてきた。




　　でもまあなんにせよ自分が最初に立てた計画が、確実にこうして叶った訳だからこのまま駒を前に進めなきゃならないと言う事は美有にとっては明白な現実だった。




　　だからいち早く慎也にこの事を知らせようと思い、美有は意を決して慎也にケータイで電話をかけた。




　　尚、美有は行き着けのイタリアンレストラン『トスカーナ』で待ち合わせる事にしたのだが、正直言って慎也に電話をかけている間も美有の心の中は、内心不安な気持ちでいっぱいだった。そしてその時の美有はまるでズシリと重い鉛の靴を履いているような感覚がして、中々足を前へ進める事が出来なかった。




　　ちなみに紛れもなくお腹の中には自分と慎也との愛の結晶である、３人もの新しい命が宿っているのだ。そしてその三つの命は確実に日々育っている。だから躊躇（ちゅうちょ）などしてはいられない。ガチに慎也と向き合いそして慎也に子供を産む事を、承諾して貰らわなければならない。




　　だが美有は正直お腹の中の子が三つ子であった事の驚きと、その事を慎也に伝えなければならない辛さとで、いささか重い足取りではあったが、どうにかこうにか慎也との待ち合わせ場所である、トスカーナに辿り着いた。




　　そして美有はお店のドアを開けるといつもの席に座り、早速ローズヒップティーをオーダーして慎也が来るのを待った。
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