トワイライト

第１章‐疑惑

　　その日の夕食の席で美有は見知らぬ男性から、有と言う女性に間違えられたと言う事を、母親の理子（りこ）に話した。と、その時『えっ？！美有と似た顔の有？！って……そ・そんなバカな』と理子の箸（はし）を持つ手が一瞬止まった。




　　そして理子は瞬（またた）く間に１９歳の頃にフラシュバックした。




　　高階理子（たかしな りこ）。１９歳。目がパッチリとした二重で、細身の色白美人である。理子は１８歳まで施設で育ち、其処で理子は高校を卒業するまで過ごしたのち、１８歳の春就職をきっかけに会社の寮で一人暮らしを始めた。だが理子は最初の就職先で、運命が大きく崩れる出来事に遭遇し、やがてその職場を辞めた。




　　八月一日瞳子（ほずみ とおこ）１７歳は、理子の上司である間宮崇晃（まみや たかあき）とは従兄妹（いとこ）同士であり、この時すでに瞳子は親同士が決めた崇晃の婚約者だった。