ワイン恋物語
「お先に失礼しまーす」

「はい、お疲れ様」

本日の仕事を終えると、食堂を後にした。

その足でスーパーマーケットに向かって、夕飯の材料を選んでいた時だった。

「あれ?」

その声に視線を向けると、
「あ、ビーフカレーの…」

彼だった。

「どうも」

彼はわたしに向かって会釈をしてきた。

「…どうも」

わたしも彼に会釈を返して、その横を通り過ぎようとした時だった。

「肉じゃがですか?」

そう聞かれた瞬間、わたしの足が止まった。
< 33 / 100 >

この作品をシェア

pagetop