ワイン恋物語
泣きながら逃げている新郎を彼女が追いかけている。

新婦は部屋の隅でうずくまって頭を抱えていた。

純白のはずのウエディングドレスは、赤い。

「金づちでやられたのかもな…」

根本さんが震える声で呟いた。

女性が持っている金づちに視線を向けると、血が落ちていた。

白い着物にも赤が…帰り血であることは一目でわかった。

「おい、救急車!

警察!

117!」

「それ、時報だよ…」

叫ぶ参列者に根本さんはボソッとツッコミを入れた。
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