ワイン恋物語
初めてだった、男の人に食事に誘われたのは。

その状況に戸惑って、わたしの口から声が出てこない。

黙っていたら、
「やっぱり、ダメかな?

ごめんね、こんなじか…」

根本さんの悲しそうな声に、
「行きます!」

わたしははっきりと、答えていた。

その直後で気づいた。

わたし、今何て言ったの…?

「よかった。

じゃあ、場所は…」

根本さんが待ちあわせ場所を告げた。

わたしは、ただ彼の声を聞いていることしかできなかった。
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