吸血鬼の箱庭
上半身だけ、起き上がり、どこで寝転がっていたのか確認する。
「げ。」
どうやら寝ていた場所は大きな木材のテーブルだったらしく、背中に痛みがじんじんやってきた。
「こんなとこで寝かすなやぁ…」
涙目になって呟くと、またあの白髪の餓鬼が口出しをしてきた。
「お前みたいな小汚ねぇ奴にベットは勿体無いだろうが。」
ことごとくこの餓鬼は鬱陶しい言動ばかりしてくる。
苛々しているのがわからないのか?
辺りをキョロキョロ見渡すと、ここは恐らくさっきの花畑の中の小屋で、二人が暮らしていると思われる。
「じゃ、凛が復活したってことで説明しますね。」
花村は俺を抱き上げ、椅子に座らせた。
妙に子供扱いされている気がするが、また変な花を嗅がされたら面倒なので黙っておく。
花村も俺と向かい合わせになって椅子に座る。
「えーと…なにから話しましょう?」
花村が人差し指を顎に当て、くるりと、小屋の出口で腕を組んで立っている餓鬼の方を見た。
「まず俺のことから話せ。人を見た目で判断する野郎は嫌いだ。」
顔を顰めながら餓鬼が呟く。
「オッケー。凛、この人いくつだと思います?」
少し明るい口調になった花村は餓鬼を指差して、嬉しそうに俺に問いかけてきた。
「……14歳くらい?」
客観的にもこの餓鬼をみたら、これぐらいの年齢を答えるだろう。
だが、そう答えた途端、花村は派手に吹き出し、腹を抱えて笑い出した。
「聞きました!?ナイト!とても若く見られてますよ!」
「うるせぇ。」
餓鬼は白髪を揺らしながら眉間に皺を寄せた。
「あ、勿論今のは不正解ですよ!
………正解は…………」
花村が勿体ぶった言い回しをするので、答えが気になる。
実は20代とか?いや、30代かもしれない…
自分なりに正解を考えていると、思いも寄らない答えが言い放たれた。