吸血鬼の箱庭
「凛!起きろー!遅れるでー!」
午前7時20分。
一階のキッチンから、甲高い声が
聞こえてくる。
ゆっくりと身体を起こし、腹にかけてあったタオルケットをたたむ。
まだ覚醒していないのか、意識がぼんやりして、身体がだるい。
「あー……」
昨日、同級生達とカラオケに行ったせいか、声が掠れる。
「凛ー!!」
中々下へ降りてこない俺に腹が立ったのか、終いにはフライパンをおたまで叩く音が聞こえてきた。
カンカンカン!!
「起きぃやぁー!!」
「あー!もー…」
今の音でやっと覚醒し、勢いよくベットの横にある窓のカーテンを開ける。
優しく、温かい朝日が、朝ということを脳に教えてくれる。
クローゼットから制服を取り出し、そのままキッチンへ向かう。
階段を降りるに連れ、食欲をそそる美味しそうな匂いがする。
「…はよー…」
「おはよ。もう朝ご飯出来るから着替えといで。」
優しく微笑みかけてくれる、我が弟、桜田修はもう茶碗にご飯をのせていた。