吸血鬼の箱庭
「やっと契約する気になったか。」
ナイトが微笑みながら、俺からナイフを奪い返し、自らの手の甲を斬りつける。
「手、貸せ。」
恐る恐る手を差し出すと、ゆっくり、お互いの傷口を合わせた。
「っ!?」
激しい頭痛がして、まともに立っていられなくなる。
そんな俺の背中を花村が両手で支える。
「まだなん!!?」
「後少しだ。」
ナイトの身体にはなにも起きていないようで、冷静に手を離すタイミングを測っている。
「いいだろう。」
やがてナイトが俺の手から離れた。
「大丈夫ですか?」
花村がポケットから、古い包帯を取り出す。
「おれはいい。まずこいつの傷口を塞げ。」
「了解です。」
花村が俺の手に優しく包帯を巻く。
「これで…吸血鬼になったんですか?」
「あぁ。これから色々教えてやるよ。」
ナイトがこちらを見て、ニヤリと笑う。
「まずはその西訛りの話し方を直さねぇとなぁ。」
俺の平和な毎日は、今日で終わりを告げた____