吸血鬼の箱庭
かけ違わないように注意しながら、ワイシャツのボタンを留め、赤色のネクタイを結ぶ。
少し大きいズボンを履き、お気に入りの赤色のギンガムチェックのベルトでしめる。
最後に鏡を覗いて、両手で頬を叩く。
「よしっ!!」
そして満足気に食卓へ向かうのだ。
「では…いただきます!」
両手を合わせて、修ちゃんと一緒にいただきますをする。
今日もなにひとつ分からない、平凡で、幸せな朝。
窓の外から聞こえる鳥の囀りが、さらに平和に感じられる。
だが、そんな朝とは今日でおさらばなのだ。