吸血鬼の箱庭
『明日修ちゃんの家行かせてもらうから荷物もう送っといたわ。』
と、ついさっき言われ、俺は引っ越し業者から大量に届いた家具などの荷物のやり場に困っていた。
「どうすんねん…」
はぁ…と、息を吐いてとりあえず物が置けるスペースがあるリビングに荷物を置いてもらう。
すぐにリビングは荷物でいっぱいになり、足の踏み場が無くなった。
身をねじらせて、奥にあるソファーになんとか座る。
「ねっむ…」
昼下がりの心地よい光で、思わず微睡んでしまう。
だが。
パリンっ!!!
異常な甲高い音で、一気に目が覚めた。
「なにっ!?」
庭につながっている、大きな窓に目をやる。
大きなクローゼットで見えにくいが、確かに窓が割れていた。
「な、なんで…?」
ソファーから立ち上がり、なるべく家具に身を隠しながら、窓に接近する。
「っ!!?」
窓には人影が二つあった。
泥棒だろうか…?
「こんな真昼間になんやねん……」
窓の近くに置いてあった凛の真っ赤なソファーに身を隠す。
割れた窓ガラスの破片をパキパキと踏みしめる音がする。