吸血鬼の箱庭
獣と絆
衝撃とおとぎ話
「ったく…何回気を失ったら気が済むのよ。」
遠くの方でぼんやりと聞いたことのある声がする。
「仕方ねぇだろ。あの薬かなり副作用強いからなぁ。」
次の瞬間、頭に強い衝撃が走り、意識がはっきりと覚醒された。
「ヴあっ!!!」
さっき目覚めた時の体のだるさや、冷えはなく、いたって正常だった。
「あんたいつまでそんな馬鹿みたいに寝てんのよ!!」
またあの甲高い声だ。
数回気を失い、全く今の状態が分からず、今の俺は肉体面も精神面もボロボロだ。
「折角説明してあげようとしたらまた目ぇ瞑って寝だすし…」
春が腕を組んで、頬を膨らませる。
その隣りでサンは退屈そうに欠伸をしていた。
むくりと上半身を起こし、毛布に包まる。
「なんで…こんなに寒いん?」
まず初めに投げかけた質問がそれだった。
今の季節は7月。
だがここはどう考えても真冬並みの寒さを保っている。
もしかして、異国に連れさらわれたのか?
多少ドキドキしながら回答を待っていると、ゆっくりサンが口を開いた。
「それより先に俺たちの正体を教えた方がいい。」
「えー……服いちいち脱ぐの面倒なのよ…」