吸血鬼の箱庭
「え?」
「一人暮らしに、成績優秀、運動神経抜群、優しい性格故に周りからの信頼も抜群。
こんな人間ごく稀にしかいねぇだろ?」
「桜田修。あんただよ!」
着替えを終えた春がビシッと俺を指差す。
「お、俺?」
言っておくが、俺はそんなごく稀にいる完璧な人間では無い。
まぁ、バスケで全国大会まで行ったが、それはチームメイトあっての功績だ。
「色々調べさせてもらったよ。実力テスト学年1位じゃない。」
春が俺の目の前に一枚の紙を突き出す。
その紙を手に取り、読んで見ると、俺の中学一年生から現在までの成績が事細かく記されていた。
「なんでこんなん持ってんねんっ…」
背筋を冷や汗が伝う。
「まぁこんな素敵な人材逃したくないもんね。」
春がフフッと笑い、サンの顔を覗き込む。
「あぁ。故に勝手だがお前を調べさせてもらった。」
サンが腕を組み、顎を上げ、俺を見下す。
「あんたらの仲間になるってことは…
俺もあんたらみたいな“獣”になるん?」
「獣とは失礼ね!気品があって、どこかの一族とは大違いの誇り高い一族よ!」
春が向きになり、俺に詰め寄って来る。