花言葉を君に。


次の日。


朝、いつものように裏庭の花壇へ行く。


今日こそゼラニウムが咲いてますように、と願いながら。


この間見たあの人影は今日もなく、少し落胆する気持ちを入れ替えながら、花壇を覗く。


小さく「あっ」と声が漏れた。


左から、パンジー、マーガレット、バーベナ、トレニア、ペチュニア。


一番右に咲くのは…黄色のゼラニウム。


やっと、咲いた…。


安堵のため息がでる。


これであたしはもう少し頑張れる。


この学校で、この街で、この国で、この世界で、あの家で。


次に浮かんだのは、ユウキ先輩だった。


知らせたい。


けれど学年と名前しか知らないユウキ先輩に、何をどうやって伝えろというのだろう?


悔しいけれどなすすべは何一つなくて。


ココでまた会えるときを待つしかない、そう思っていた。








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