花言葉を君に。
「先輩…」
どうして?どうしてそんなにあたしを苦しくさせるの?
「何があったの?言えないこと?」
やばい。また視界がぼやける。
優しすぎるよ。
言ってもいいのかな?
でもこんなこと相談したら離れていきそうで怖い。
「何もないんです。ただ、花見てたら泣けちゃって…。」
…言えないよ。楓にぃにのことなんて。
「…そう。せっかくゼラニウムが咲いたんだから、ほら笑って?」
「はい。」
大丈夫。
ユウキ先輩の優しさに頼ってちゃダメなんだ。
強くならなくちゃいけない。
ひとりでも笑って普通に生きていけるくらいに、強く強くならなくちゃ。
本当はこの優しさに頼りたいけど、そんなのダメだよ。
あたしはひとりで生きなくちゃいけないんだから。
それでもユウキ先輩に逢わせてくれたのは、黄色のゼラニウムのせめてもの情け?
嬉しいようで切なくて苦しい。
だって、もともとこの優しさを知らなければ、こんなふうに思うこともなかった。
出逢えたことに感謝してるけど、どうしても楓にぃにと重ね合わせてしまう…。
それでも黄色のゼラニウムにはすごく感謝してる。
だって花言葉の通り、ユウキ先輩と出逢わせてくれたし、それに…
改めて、あたしがひとりなんだってことを実感させてくれたから…。
隣を見ると、あの優しい笑顔を今日咲いたばかりのゼラニウムに向けるユウキ先輩がいた。