花言葉を君に。
2章 紫のライラック
.。*゚+.*.。 ☆ ゚+..。*゚+.。*゚+.*.。 ☆ ゚+..。*゚+.。*゚+.
…朝、偽りの家族で過ごす時間が、憂鬱で仕方がなかった。
それに、どうせ学校へ行っても居場所なんてないからって、開き直っていた。
でも、今は少しだけ違う。
朝、学校へ行きたくてうずうずしてる自分がいる。
教室に行く前に、真っ直ぐ向かう場所がある。
誰も来ない、静かな裏庭の花壇。
今は無き園芸部の部活場所だった、花壇。
ココはあたしの唯一の居場所。
そして…
「ユウキ先輩。」
花壇の前にしゃがみこむ男性に声をかける。
振り向いた男性は、笑顔であたしの名前を呼んだ。
「おはよ、紫苑ちゃん。」
ココはユウキ先輩と会える大切な場所。
「おはようございます。」
朝、登校してから予鈴が鳴るまでの時間が、あたしの大切な時間。
初めてユウキ先輩と出逢った日から、まもなく2週間が経つ。
“偶然の出逢い”…黄色のゼラニウムがあたし達を引き合わせてくれた。
心を開けると思える人に出逢ったのは、どれくらいぶりだろう??
それくらい人を信じることができなくなっていたあたしは、ユウキ先輩を慕っていた。
ユウキ先輩のことを何も知らずに、ただこの“想い”の種に水を、肥料を、日光を注ぎ続けていたんだ。