花言葉を君に。


「ユウキ先輩。」


「ん?」


ユウキ先輩の隣にしゃがみこんで、花に水をやる。


「園芸部、復活!って無理ですかね?廃部になったのは、2年前にいた部員が問題を起こしたからだって聞いたんですけど。」


それは先生から聞いた、確かな情報だった。


2年前、園芸部の部員が警察沙汰になるくらいの大問題を起こしたことが、園芸部を廃部にさせた原因だったという。


詳しいことはわからないけれど、もしその部員が2年前は2、3年生なら卒業しているので、復活できると思う。


「う~ん…。」


花を見つめたまま、唸っているユウキ先輩。


「いや、大丈夫だと思うんだけどね?でも今は俺と紫苑ちゃんがいるけど、来年は紫苑ちゃんひとりになるでしょ。それじゃまた部活にならないんだろうな、と思って。」


確かにその通りだ。


ユウキ先輩は3年生で、あと少しで卒業してしまう。


あたしは残りの2年間を、またひとりで過ごさなければならない。


せっかく、やっと出逢えたのに…。


ユウキ先輩は黙ったままのあたしの頭をポンポンってして、笑った。


「そんな顔しないで?先生に聞いてみるよ。で、OKもらえたら二人で園芸部やろ。ね?」


その優しい声で、優しい笑顔で微笑まれると、あたしは息ができなくなる。


「はいっ。」


「それと、今度新しい花植えよう。青とか紫の花がいいなぁ。」


「じゃあ、キキョウとかライラックとかですかね?」


「お、いいね。今度植えようね。」


「はい!」


…先輩、あたし最近考えてしまうんです。


ユウキ先輩の笑顔の理由を。


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