花言葉を君に。
…やっぱり女子は苦手だ。
まるで一緒にトイレに行くときの女子のように手をしっかりと繋いで…いや、繋がれて歩く。
右隣にいるのは、本日ほぼ初めて話した人、桐生明梨。
なぜかわからないけれど、一緒に帰る羽目になっている。
それで確信する。
やっぱり女子は苦手。どう接すればいいのかわからない。
それに、強引にあたしの手を引いた桐生明梨は、一言も喋らない。
正直、ダッシュでここから逃げたいくらい、気まずい。
「あの、桐生さん。」
「んー?」
「なんであたしと一緒に帰ろうと思ったの?何か企みでもあるわけ?」
桐生明梨はクスッと笑った。
きっとこの笑顔に男は惚れてしまうのだろう。
「さすが黒澤紫苑♪もちろんあんたみたいな人、何か理由がないと近づかないでしょ?」
コロッと態度を180°変えた桐生明梨。
…正論すぎてムカつきもしない。
「…で?何が目的なの、桐生明梨?」
もうさん付けする気にもならない。
「決まってるでしょ。あなた、ユウキ先輩と仲いいらしいから。」
薄々気付いていた。
「で、どうしろって言うの?」
ため息混じりに言うと、桐生明梨はニコッと笑ってあたしに聞いた。
「黒澤紫苑はさ、ユウキ先輩のこと好きなの?」
直球すぎるその質問は、あたしの心をかき混ぜた。