花言葉を君に。
「…ちゃ……し…んちゃ…」
朝、あたしはいつも通り花壇の前に来ていた。
昨日、桐生明梨と話した内容が、頭から離れない。
考えすぎて眠れなかったし。
…あたしはユウキ先輩のことが好きなのかな?
あれからずっと考えてるけど、答えは見つからない。
第一、好きって気持ちをわかりきってないからなぁ。
「…紫苑ちゃんっ!」
「は、はいっ!!」
後ろから耳元で名前を呼ばれて、ビックリした。
振り向くと、ユウキ先輩が不思議そうな顔をして立っていた。
「どうかした?ボーッとしてた?何回も名前呼んだんだけど。」
「あ、いや、ちょっと考えごとしててっ。す、すいません!おはようございます!」
下げた頭をユウキ先輩の手が撫でた。
男の人に頭を撫でてもらったことなんて、今まで無かったからドキッとしてしまった。
「おはよ。悩みがあるなら、相談してよ?ひとりで抱え込むのは禁止だからね。」
「はい。ありがとうございます。」
優しい笑顔…。
先輩になら、相談しても大丈夫…かな。
「…あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」
早速、花壇の前にしゃがみこんで、手入れを始めたユウキ先輩に声をかけた。
「先輩は人を好きになったことありますか・・・?」
ユウキ先輩は一切振り向かずに、即答した。
「あるよ。」